三つの原因

図③を見てください。

<医者の領域><患者の領域>という言葉が加えられています。
波線の上。
ガンを、メスや薬で直接叩くのは、医者にしかできない領域です。
波線の下。
生活習慣を改めるのは、患者自身の役割。患者の領域。
つまり、<三つの原因>を改める作業は、患者さん本人が、日々の生活の中で根気よく、
一つひとつ改めていくしかないということを表しています。
そのことを念頭に置きながら、これから<三つの原因>の一つひとつについて、
具体的に説明を加えてみたいと思います。

●ライフスタイルの乱れ

ほとんど休日もとらない働きづめの日常。残業につぐ残業。その後の付き合い。
夜型あるいは、昼夜逆転の不規則な生活。運動不足。睡眠不足などです。
そして困ったことに、仕事を持っている主婦は、
どうしても、多忙な夫と子供優先の生活になってしまいがちですから、
自分のリズムは崩れに崩れ・・・。
ちなみに私の場合・・・超多忙と不規則の典型。土日出勤、徹夜は当たり前。
有給休暇って、それ何? ひたすら仕事、仕事、仕事。
そして妻は、家庭ほったらかしの私と3人の子供の世話、
さらに常に負担の多い仕事を持っていたので、
よく、妻がガンにならなかったなと後になってヒヤヒヤしたものです。  
あなたは、そして、あなたのご家族は、どうでしょうか? どうだったでしょうか?

●食事の乱れ

「乱れ」という言葉から、何かとても極端な食生活を想像する方も多いようですが、
そうではありません。今の日本に、ごくありふれた日常の食事。
肉中心の、いわゆる欧米型の食事です。
例えば・・・
朝は、トーストにバターやジャムをたっぷり塗り、スクランブルエッグや目玉焼き。
あるいは、フランクフルトソーセージ。ヨーグルト、牛乳、コーヒー。
昼は・・・社員食堂や職場近くの食堂で、天丼、かつ丼、刺身定食、焼き肉定食。
あるいはコンビニ弁当。ハンバーガーショップで、ラーメン店で、立ち食いソバ屋で
大急ぎでかき込む。出前や菓子パンで済ませる人もいます。
夜は・・・一日のメイン。やはり肉、魚が中心。ボリューム満点。脂肪過多。
しかも、砂糖で味付け、艶出しのみりんもたっぷり。
私はこんな料理を<厚化粧料理>と呼んでいます(外食は、厚化粧の宝庫です)。
ちなみに私の場合・・大好物は、ビフテキ、トンカツ、ビーフシチュー。さらに、魚。
いつも妻に、「ドウタンが足りない」とダメ出しをしていました。
「ドウタン」とは、動物性タンパクの我が家独特の呼び方。
当時の私は、これこそがハードな仕事に耐える強靭な身体を作ってくれるのだと、
固く信じていましたから。
しかし実際は、高動物性タンパク、高動物性脂肪、高カロリーの三つは、
もっとも危険。私はこれを<ガン育成三高食>と名付けています。

●心の持ち方の乱れ

心と免疫の関係を解明する、精神神経免疫学という学問があります。
あらゆる病気の発病と治癒にもっとも大きな影響力を持つのは、<心>だと言うのです。
怒り、悲しみ、恐怖、不安、失望、疑い、迷い、無力感、絶望・・・
私が<マイナスの感情>と呼ぶこれらの感情、すなわち<心の持ち方の乱れ>は、
ことごとくみな、著しく免疫を低下させ、
やがてガンをはじめとする様々な病気を引き起こします。

そして<マイナスの感情>は、以下のような、
決して望みもしない<何か>をきっかけに、ほとんど避けようもなく生まれてきます。
仕事上の失敗、リストラや会社の倒産、手ひどい挫折、将来への不安、
職場の人間関係、夫婦の不和、子供の教育問題、家族との死別、
親戚や友人知人との人間関係、嫁姑のいさかい、遺産相続の争い、金銭的悩み、
親に愛されなかったなど成育歴に起因する苦悩、コンプレックス、自己否定、
親のいいなり、何事も自分を後回し、八方美人、本音を言えない、
人の評価に振り回され自分を押さえつけてしまう性格や
間違った思い込みからくる生きにくさ・・・。

そして、こうして生まれた<マイナスの感情>が、心に降り積もるとき・・・
たとえ、表面上は忘れたつもりでいたとしても免疫低下は続き
・・・人は、ガンを発病するのです。
ちなみに私の場合・・・子供の頃から病弱。成績は落ちこぼれ寸前。
加えて、大学卒業後は職を転々、NHKの受信料集金の臨時雇いになり、
3年後に試験を受け直し、ようやくディレクターになったのです。
だから、何が何でも周りのエリートたちを打ち負かそうと、文字通り不眠不休の頑張り。
そのストレスは凄まじく、ガンと診断される直前には、
ついに、日に何度も幻覚を見るほどになっていました。

さらに・・・こんな調子ですから、
家庭のことなどほったらかし。
当然のように、妻との仲は最悪。
外でストレスにまみれ、
本来なら癒やしの場であるはずの家庭で、
さらにストレス・・・
ガンにならないはずがないのでした
(今は、妻とはラブラブ。ガンになったおかげです)。

★NPO法人ガンの患者学研究所は、神奈川県から認証された非営利の団体です。一切の宗教、政治、商業主義とは関係ありません。
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